私がデザインの仕事を志した理由、それは、CDのジャケットデザインをしたいという夢を持っていたから。
時代は変わり、既にサブスクが主流となった今、CDというメディアは、随分色褪せてしまった。
20年程前、地元のタワーレコードには活気があり、毎日のように新しい音源を求めて通ったのを思い出す(仕事場の近くにあった)。
そして、あらゆるジャンルの音楽を聴きまくった。
J-popから始まり、ロックに目覚め、海外のハードロック、メタルにハマり、そこからパンク、派生して、メロコア、ハードコア、ガレージパンク、パブロック、パワーポップ、スカ、ファンク、アニソンなど、邦楽・洋楽問わず、あらゆるジャンルを聞き漁り、スキンズという特殊なジャンルにまで振り切ったこともあった。
そんな中で、メロコアは特に思い出深いシーンだが、私がハマっていた時代から少しズレていた為、正直バンド名くらいしか記憶になかった【オーバーアームスロー】というバンド。
当時、英語歌詞が主流のメロコアシーンから、日本語(青春)パンクムーブメントなるものが起こり、私もそちらに流されてしまったため深く聞くことはなかった。
正直【エルレガーデン】辺り以降のメロコアは、当時そこまで馴染みがなく、思い入れも少なかった。
ただ、メロコアというジャンルが大好きなのに今も変わりはなく、邦楽・洋楽、新旧問わず時々聞き漁ることがある。
その中で、このオーバーアームスローというバンドを再び聞く機会があった。
曲は、それはそれはもう、馴染みのある感じだった。
ただ、曲よりも注目したのは、[Songs]というアルバムのジャケットだ。
正直記憶になかったが、今この時代に、欲しいとまで思うジャケットに巡り合えるとは思わなかった。
ライムグリーンとブラックの色合い、少年の絵のタッチや雰囲気もさることながら、ジャケット右下のシールによる仕掛けが秀逸だ。
特に真新しい手法ではないのかもしれない。
しかし、シールの位置、このシールで隠されている時の絵の雰囲気、ジャケットをケースから出した時の絵の全貌も含め、構成が最高だ。
細かいことだが、このシールの貼る位置は、もちろん全て同じは難しく、少しズレるだけで印象も若干変わってしまうので、当たりはずれはあるかもしれない。
私が手に入れたものも、もう少しシールは右の方が良かったが、これは仕方ない。
それでも、このデザインは素晴らしいと言える。
実は、ライブDVDも同じデザインで発売されており、こちらは若干の違いがあり、カラーがブルーだ。
そして、何よりもシール箇所のデザインがそのまま絵に重ねられ印刷されており、CDのような2つの楽しみ方はできない。
コストの問題もあるのだろう。
しかし、揃えたい欲でこちらも購入、ある意味シールの場所をしっかり考えられて印刷されているので、バランスが完璧、購入して良かったと思えた。
CDジャケットのデザインに憧れ、色んなジャケットを見て興奮していたあの頃。
ジャケット買いなるものも経験し、中身がジャケットとマッチするような楽曲だった時の喜びは、なにものにも勝るものだった。
時代はCDではないのかもしれない。
アナログレコードのように、価値のあるものではないのかもしれない。
しかし、CDが全盛期だった頃、デザイナー達が知恵を絞り、アイデアを出し合って作り上げたものは、今も色褪せず残っているのは確かだ。
今後も、そんな心を揺さぶられるデザインに巡り合えることを楽しみにしたい。
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RESISTANCE DESIGN(レジスタンス・デザイン)
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